「モノづくり大国」日本を古くから支えているのが製造業です。
製造業の業界の実情については詳しくない人が多いのではないでしょうか。
この記事では、製造業の仕事内容について解説し、製造業の採用を成功させるためのコツを紹介します。
製造業は製品の生産や加工を行う産業であり、仕事内容や求められるスキルについて詳しく説明します。
また、採用の際に成功するためのヒントやアドバイスも提供します。
製造業は採用しやすい？
工場の仕事は、求職者の立場から言えば、特別なスキルや知識を要求されず、採用されやすいといわれます。
これは確かに事実で、40代・職歴なしから採用されたケースなどもよく聞きます。
ニートや無職の方でも採用されやすく「とにかく正社員に」と応募する人も多いです。
採用担当者さんがスキルや経験にこだわりがなければ、採用はスムーズにいくと思われます。。
工場ごとの内定率などは非公開。
ただ、有効求人倍率や採用動向から推測することはできます。
製造業が人手不足な理由
製造業は技能人材の不足が課題となっています。
経済産業省の調査によれば、
技能人材に課題があると答えた企業は
大企業で40.5%、中小企業で59.8%。
今回は人手不足の解決方法をご紹介します。
厚生労働省の発表によると、令和元年（2019年）における生産工程の職業の有効求人倍率は1.74倍で、全職業の平均1.45倍と比較して上回っていることが分かります。
さらに生産工程の職業の中でも機械整備・修理の職業に絞って見ると、3.86倍とかなり高いことが見てとれます。
近年、その差はより広がってきています。
製造業で特に不足している技能人材とは、先述した機械整備・修理などのような、製造ラインで活躍し続ける人材を指します。
技能人材が足りないと業績に深刻なダメージを与えます。
平成28年の調査によると製造業の平均年収は374万円。
飲食や介護に比べれば高い数値ですが、特別良くはありません。
さらに正社員だとボーナスが出る代わりに基本給が抑えられる傾向があり、派遣や期間工として働いたほうがメリットを感じる求職者が多いようです。
製造業が人手不足な理由について詳細を説明します。
休日が取りにくいこと
製造業に対して3Kのイメージを持っている求職者は多いです。
現在、製造業の現場では5S活動でこのイメージを払拭しています。
5Sとは整理・整頓・清掃・清潔・しつけのことで、現場の業務改善が効率的に働き、結果従業員の負担が軽減されます。
製造業への転職者のうち1年未満で退職している割合は6割、1ヶ月未満で退職している割合は22%に達します。
給与が安い
まず、給料が安いのは大きな要因です。
入社の時点では契約社員としての雇用だったが、実際に業務を経験し先輩社員の雇用状況を見て、
「正社員になれないのではないか」「正社員になっても条件が良くならないのではないか」
と将来に不安を持つケースもあります。
昇給やキャリアアップの制度がない
「何を頑張ればいいのかわからない」と辞める従業員も多いです。
ルーティン作業には、収入面での希望が持ちにくいのです。
スキルアップにつながらない
成長できないのも社員が離職する原因となります。
仕事内容に変化のない場合、スキルアップも特に必要ないかもしれません。
スキルアップにつながらなければ仕事のやりがいも感じづらく、転職の際に不利もになるので、手遅れになる前に成長できる環境を求めるのです。
製造業の求人倍率
2022年2月の有効求人倍率は1.21と、前月から0.01ポイント増という結果となり、あまり楽観視できない状況。
産業別の傾向は、宿泊業と飲食サービス業が28.4％、製造業が27.6％、情報通信業が18.1％の増加です。
【都道府県別 有効求人倍率（最新版）】
※2022年4月29日時点の最新版。※2022年3月分
全国平均 1.22（前月：1.21、前々月1.20） 北海道 1.12 青森県 1.24 岩手県 1.49 宮城県 1.34 秋田県 1.63 山形県 1.60 福島県 1.50 茨城県 1.56 栃木県 1.26 群馬県 1.46 埼玉県 1.04 千葉県 1.05 東京都 0.96 神奈川県 0.95 新潟県 1.48 富山県 1.67 石川県 1.46 福井県 2.05 山梨県 1.50 長野県 1.54 岐阜県 1.65 静岡県 1.31 愛知県 1.28 三重県 1.52 滋賀県 1.23 京都府 1.10 大阪府 0.97 兵庫県 1.08 奈良県 1.36 和歌山県 1.23 鳥取県 1.64 島根県 1.75 岡山県 1.46 広島県 1.37 山口県 1.70 徳島県 1.37 香川県 1.65 愛媛県 1.43 高知県 1.16 福岡県 1.02 佐賀県 1.51 長崎県 1.30 熊本県 1.51 大分県 1.38 宮崎県 1.50 鹿児島県 1.42 沖縄県 0.85 ※厚生労働省が発表している2022年3月分データで全国で一番有効求人倍率が高いのは福井県の2.05。全国で一番有効求人倍率が低いのは沖縄県の0.85です。
製造業の採用を成功させるコツ
製造業での人手不足対策を事例も含めてご紹介します。
RPA・AIの活用、業務プロセス効率化
定型作業の自動化により、人でしかできない作業や業務に注力できるようになります。
実際にさまざまな企業で成功事例が出てきています。
採用の幅を広げるということは、雇用環境の見直しもしなければなりません。
特に外国人の採用では、先に環境整備を進める必要があります。
環境を整えることは、これからの時代ではとても重要な人事戦略となるでしょう。
離職軽減のための福利厚生の見直し
多様な人材の採用には、福利厚生による離職軽減対策なども必要となります。
たとえば、産後の育児休暇や時短勤務が可能など労働におけるワークライフバランスを整えることにより、どのようなライフステージに立っていようとも働き続けられる制度や手厚い福利厚生があれば、わざわざ退職する必要はありません。
また、採用コストや教育コストのカットにもなるでしょう。
システムやアウトソーシングの活用
特に不足しているのが技能人材。
対策として考えられるのが産業用ロボットの導入です。
自動化によって作業手順の簡略化などが期待できます。
そのほかにも、BPO（Business Process Outsourcing）の活用が対策として考えられます。
このBPOによるアウトソーシングは、さまざまな面で活用することができます。
社内のコア技術以外の部分を外部委託することにより、企業は効率的に業務を遂行し必要な技術発展に人材を集中させることができます。
SDGs等の社会貢献への取り組み・PR
企業の人手不足対策において、新たな人材の採用活動が重要です。
今後、新たな人材の採用にあたり、PR活動や社会貢献活動などを外部に公開する事が求められています。
「就職先を選ぶ上で重視した点」の質問に対して「福利厚生が充実している」が51.4%、「SDGsの取り組みをしている」が6.4%
(株式会社ベイニッチ 「21卒就活生の選社軸とSDGsの関係性」 の調査より)
となっており、SDGsのような社会的な取り組みについての学生の認識が予測できます。
このように一つの側面だけで採用活動を進めていくのではなく、企業全体の取り組みや社会貢献をしっかりとPRして自社の取り組みを知ってもらう機会をつくることも重要です。
まとめ
この記事では、製造業の仕事内容について詳しく解説し、また、製造業の採用を成功させるためのコツを紹介しました。
製造業は製品の生産や加工を行う産業であり、多様な仕事が存在します。製造工程や品質管理、設備保守など、それぞれのポジションにおいて求められるスキルや責任について詳細に説明しました。
製造業の採用を成功させるためには、いくつかのコツがあります。まずは求職者に対して明確な仕事内容やキャリアパスを伝えることが重要です。また、求められるスキルや経験を的確に示し、適切な求人広告や採用プロセスを設計することもポイントです。
さらに、労働環境や福利厚生の整備、キャリア開発のサポートなど、求職者のニーズに応える取り組みも重要です。また、内部研修や組織文化の醸成を通じて、社員の成長と定着を促すことも採用の成功に繋がります。
製造業の採用を成功させるためには、求職者とのコミュニケーションを大切にし、明確な情報を提供することが求められます。また、求職者のニーズに合わせた働きやすい環境を整えることで、優秀な人材を確保し、組織の成長を促進することができます。
