歯科衛生士は、歯科医院において重要な役割を果たす専門職です。
健康な口腔ケアを提供し、患者の歯や歯ぐきの健康を維持するために必要不可欠な存在です。
しかし、優れた歯科衛生士を採用するためには、適切な採用方法や戦略が求められます。
この記事では、歯科衛生士の採用方法と、成功を収めるためのコツについて詳しく解説します。
歯科医院のオーナーや採用担当者、さらには歯科衛生士を目指す方々にとって貴重な情報となるでしょう。
優れた歯科衛生士の採用は、歯科医院のサービス品質や患者満足度に直結します。
適切な採用方法や戦略を学び、採用プロセスを成功させるためのヒントを見つけましょう。
歯科衛生士の採用は難しい？
歯科衛生士の有効求人倍率は、現在20倍です。
予算を増やしてあらゆる求人広告を利用するなど、同業医院以上の取り組みをしないと、衛生士を採用するのは難しい状況です。
現在の職場での不満点は、
• 専門性・資格等の評価……61.3%
• 教育研修等・レベルアップの機会の充実……52.0%
となっています。また、現在の職場での業務量の多さについて改善を期待している歯科衛生士が多いこともわかります。
• 業務量の軽減……42.1%
• 労働時間の短縮……29.5%
歯科衛生士雇用を考える前に、
「どうして歯科衛生士が歯科医院をやめてしまうのか」
を知っておく必要があります。
歯科医院は歯科衛生士がやめなければ、
新しい歯科衛生士を雇う必要がありません。
（現状で歯科衛生士数が不足していたり、新規拡大の予定がない場合）
しかし、歯科衛生士という仕事は、
女性が9割以上を占める仕事です。
男性であれば転職をする機会がありますが、
女性であれば結婚、出産、育児において
仕事を続けるか、やめるかの選択を迫られることがあります。
歯科医院の診療時間は午前9時から午後7時までのところが多いです。
都心部ではもっと遅い診療時間の場合もあります。
しかし、出産し復帰しても育児の関係で、
遅い時間帯は働けない女性の方が多い状況です。
一方で患者さんは、仕事の関係で遅い時間帯の方が、
都合がよい方が多いため、歯科医院はどうしても遅い時間帯に人手が必要となります。
つまり「時間帯のミスマッチ」も歯科衛生士がやめる理由の一つだと考えられます。
また「歯科医院内の人間関係」も歯科衛生士の退職理由です。
・院長先生が怖い
・先輩スタッフが不親切
といった雰囲気の歯科医院では、
どんどん歯科衛生士が辞めていきます。
魅力的な歯科医院になるためには、
女性が働きやすい環境、そして働きやすい人間関係の構築が必要になります。
歯科衛生士が人手不足の理由
厚生労働省の統計によると、
令和2年度の歯科衛生士の有効求人倍率は2.81倍でした。
同年における全職業の有効求人倍率の平均は1.18倍でしたので、2倍以上の求人数であるということがわかります。
歯科衛生士は他の職業に比べて採用が難しく、なかなか人手が増えない現況です。
歯科衛生士の採用試験とは
歯科衛生士は国家資格。
受験資格を得るには文部科学大臣指定の歯科衛生士学校、都道府県知事が指定する専門学校や短期大学において3年間（一部4年制大学では4年間）の養成課程を修めることが必須です。
歯科衛生士国家試験は、実技試験はなくマークシート方式のみで、
毎年2～3月に全国主要都市で行われます。
合格率は95％前後と高く、合格者は指定機関への申請・登録を経て歯科衛生士免許書が交付され、歯科衛生士としてのスタートラインに立つ資格を得たことになります。
歯科衛生士国家試験は年1回全国の会場で行われます。
試験内容は、歯・口腔を除いた人体の構造と機能、歯・口腔の構造と機能、疾病の成り立ちおよび回復過程の促進、歯・口腔の健康と予防にかかわる人間と社会の仕組み、歯科衛生士概論、臨床歯科医学、歯科予防処置論、歯科保健指導論ならびに歯科診療補助論の9科目から出題されるマークシート方式です。
景気動向に準じて採用枠の増減が激しい一般企業に比べて歯科衛生士の需要はとても多く、有効求人倍率も高いレベルを維持していますが、大半の求人は歯科衛生士という国家資格を保持していることが採用条件となります。
歯科衛生士の採用方法
歯科衛生士の採用には、競合と差をつけるための工夫が要ります。
• 求人情報を詳細まで記載する
• 「女性目線」の求人を心がける
• きれいな自社サイトを制作する
求人情報を詳細まで記載する
まず自院に興味を持ってもらうことが重要です。
労働条件や待遇、職場の雰囲気など働いている姿が具体的にイメージできるよう、求人票をできるだけ詳細に記載するようにしましょう。
特に歯科衛生士の場合、育休後に復帰を検討している人も多く、柔軟な労働時間や休日などを重視する方がほとんどでしょう。
休日や就業時間、労働条件にどの程度融通がきくのかなど、より詳細に掲載することで目に止めてもらいやすくなるでしょう。
求人票に書くべき項目は以下が主なものです。
• 待遇
• 産休・育休取得状況
• 職場環境や人間関係を表す写真や動画
• 教育制度・キャリアモデル
労働条件や労働環境の良さを示す
勤務時間や休日の柔軟さ、スキルアップのための制度など働きやすい環境をアピールすると良いでしょう。
また、職場環境の良さをアピールできれば大きな強みになります。
求人広告に加え、SNSなどを活用すれば、求職者にも伝わりやすいです。
「女性目線」の求人を心がける
歯科衛生士は9割が女性なので、女性目線で求人作成をする必要があります。
出産などのライフイベントに関する福利厚生、職場がきれいなところか、上司となる院長の考え方などあらゆる項目で、女性目線で魅力的な内容になっているかを確認しましょう。
同じ立場の女性スタッフと一緒に検討すれば効果的です。
きれいな自社サイトを制作する
自社サイトの求人は、制限なく情報を掲載できる強力なコンテンツです。
その自社サイトがきれいで、訴求力が強いなら、歯科医院としての信頼度や魅力が伝わり採用の成功率は上がりやすくなります。
詳細な求人情報、院長のメッセージ、働く場所の写真、スタッフ紹介などを掲載することで、他の歯科医院と差別化できます。
スマホ対応も不可欠です。
歯科衛生士の採用を成功させるコツ
自院の求人票に興味を持ってもらうため、待遇面と職場の雰囲気、職場環境の向上について既に実施している取り組みなどを書くことが求められます。
《求人票に書くべき内容の例》
・給与、勤務時間などの詳細
・産休・育休実績、シフト希望の出しやすさ
・働きやすい環境のための自院独自の取り組み
・職場環境や教育体制の紹介
・職場の雰囲気がわかる写真や動画
歯科衛生士の採用に関していわゆる「ノウハウ」はありません。
スタッフのライフイベント以外の理由で退職してしまったら「なぜスタッフ辞めてしまったのか」を真剣に考える必要があります。
歯科医院のように、労働集約型のサービスの場合、スタッフが減れば売上げが下がるというのは誰でも容易にわかることです。
目安として1年以内にスタッフの人数の30％以上が同時に退職してしまうような医院は、スタッフが働きやすい環境ではないと判断すべきです。
まとめ
ここまで順を追って、歯科衛生士の採用について解説しましたが、あなたにとって今の歯科衛生士採用の実情が把握できるものでしたでしょうか。
いずれの採用方法を使う上でも、どれだけ自院の魅力を詳細に伝えることができるかに成否が分かれます。
毎年7000人も歯科衛生士は増加し続けているので、求める人材を採用するには自院の魅力をしっかりと提示することが必須です。
この記事を参考にし、自院の求める歯科衛生士の採用が成功することを願っております。
